物語


 時は江戸時代。
 幕府の政治も盛りの頃、江戸の都は大いに栄えていた。

 しかし、いつの世にも都市の繁栄の裏側には底知れぬ深い闇がひしめいているもの。

 それは街の暗がりを温床にはびこる殺しや暴行、恐喝と言った人の犯罪でもあれば、闇夜を徘徊する妖怪達のする悪さでもある。
 ここ数年間で江戸の治安は急激に悪化してきていた。


 そんな折、治安維持活動を行う幕府直属の組織が結成された。


 剣は民の未来の為に、その身は都の平和の為に。


 夜に閃く白き刃の輝きに、人々は彼等をこう呼称した―――「白狼隊」と。

 物語は、一人の少年がその門戸を叩く所から始まる……。

 (本編序文より)