若菜、十六歳。 (作:椎名絢)
私は若菜、花の十六歳です。
江戸でも人気の蕎麦処「栄屋」の看板娘です!
「栄屋」の自慢は、白狼隊の皆様が出入りしてくださること!
「あれ、みなさんまだ来ておられないんですか?」
来られた!
私を迎えにきてくれる、助けてくる、運命の人を探し続けてやっと見つけたお方。
朝倉美景さま!
白狼隊の新入隊員で、礼儀正しくて、笑顔が素敵で……とにかく素敵なお方!
……ちょっと鈍感、っていう欠点もあるんですけど……。
「いらっしゃいませ、美景さま!」
「あ、若菜殿……白狼隊のみなさんはまだ来ておられないんですか?」
「え、えーと……次は明日だと聞いているんですけど……」
言うと美景さまは真っ赤になって、そうだった、と呟く。
かわいい。
美景さまはちょっとだけ女の子っぽい顔立ちなので、崩されるととても愛らしい顔をしておられます。
それを見れる私は幸せ者……と、思ったり、思わなかったり。
だって美景さま、誰にだって見せるんですもの!
「困ったな……それなら庄吉殿に刀を預けておくんだった」
「美景さまでもそんな失敗されるんですね」
「いや、僕はこんな間違いばっかりですよ……はぁ」
と、深いため息をつく美景さま。
ここはチャンス……じゃなくて、私が慰めてさしあげないと!
「それなら、私と……」
「じゃあ僕、庄吉殿に刀を預けて、家で鍛錬でもしてますね。お邪魔しましてすみませんでした、若菜殿」
……帰って、しまわれた……。
確かに鍛錬は必要だろうけど、でも、でも、でも!
「ッ~……美景さまの馬鹿っ!」
私は言い捨てて、ぷんっ、とお仕事に戻ったのでした。
でも諦めない!
次こそはっ……!
- 作者様より -
恥ずかしながら、参加させていただきました。
本当はjupiterの方も参加させていただきたかったのですが……一人一作品とのことでしたので、大好きな若菜ちゃんのお話を書かせていただきました。
美景ちゃんはきっとこんな感じだろうな、とあたしの中ではあるのですが……。ああ、コメント長くてごめんなさい!
これからもサイト運営&ゲーム製作頑張ってください!
椎名絢 拝。